色って何?

空はなぜ青いの?夕焼けが赤いの理由は?雲はどうして白い?太陽光と空の色の関係

空はなぜ青いのか?なぜ雲は白いのか?

子供のころに一度は疑問に思ったことがないでしょうか?

「空はなぜ青いの?」

「雲はどうして白いの?」

今回は、そんなテーマについて掘り下げてみます。

空が青い理由、朝焼け・夕焼け空が赤やオレンジに染まるのはなぜか、そして雲が白いワケについて「最近あらためて気になった」と、このページに辿り着いた方はお楽しみください!

空が青いのはなぜ?

空の青

よく晴れた日に見上げた空。雲一つない視界にひろがる、見渡すかぎりの青。爽やかなその色を見ていると、なんとなく気持ちが明るくなりますよね。

この青は、何がもたらしているのでしょう?

結論を一言でまとめますと、昼の空が青い理由は「太陽光のなかの青を感じる波長が広範囲に散らばっているから」です。

つまり、光の散乱が空の色をつくります。

光と色の関係

太陽から出ている白光(白くみえる光)には、すべての色の波長成分が混ざっています。私たちが感じる色は、受け取る光の波長域と強度によって決まります。

普段「光」と呼んでいるものは電磁波のごく狭い可視範囲(目でとらえられる波長領域)であり、長い波長の電磁波をみると赤やオレンジ、中波長は黄や緑、短い波からは青や紫を感じます。

光は波長ごとに屈折率(曲がりやすさ)が違い、波長が短くなるほど屈折しやすい性質を持ちます。

太陽から降り注ぐエネルギーが地球に到達し、大気中を浮遊する微粒子に当たると、長い波長の光よりも短い波長の光のほうが散乱します。つまり、青や紫を感じる光が、赤やオレンジの光よりもよく散らばり、全体に広がっているように見える。だから空は青い、というわけです。

写真や図を用いて、もう少し詳しくご説明しますね。

可視光線の波長ごとの屈折率の違い

太陽の白光は、細いレーザー状にしてプリズムにかざすと虹色に分光します。

白い光が赤や青など固有の色の光に分解するのは、白い光が各色の混ざったものであること、そして、色光ごとに屈折率が異なる証です。

このことは、万有引力の法則でも知られるアイザック・ニュートン(1642-1727)が実験にて証明しました。

可視光線とは?目に見える電磁波って?

既述のとおり、「光」とは電磁波であり、人間のカラダは電磁波のごく一部の波長域だけを目でキャッチします。その光を電気信号に変えて、脳内で色や形として認識します。

目がとらえる波長は、およそ380nm(ナノメートル)から780nmの領域です。380nmより短い波長には紫外線やX線などがあり、780nmより長い波長には赤外線や電波などがあります。

太陽の白い光も、プリズムを通したあとの色光も、本来は無色です。受け取る波長によって私たちの目のなかの細胞が反応し、白や赤や黄や青、そのほかすべての色が生じます。

光線の特徴

波長が長くなるほど = エネルギーが弱い、屈折率が低い、可視範囲は赤寄りの色味となる
波長が短くなるほど = エネルギーが強い、屈折率が高い、可視範囲は青寄りの色味となる

太陽から出ているエネルギーは、可視光線が50%ほど、残りが紫外線や赤外線やそのほかの電磁波です。それが地球に到達した際のふるまいをざっくりと表現したのがこちらの図。

なぜ空は青いのか?レイリー散乱の模式図

短波長ほど大気中の小さな粒子(微粒子)に当たった際に散乱しやすいため、青味を帯びた光が散り散りになって目に届きます。反対に、波長が長い光は直進しやすく、太陽から直接届いているように感じられます(青を含むほかの波長と混ざって白いまま)

昼間の空は青く感じられるのは、この現象を目にしているからです。

レイリー散乱(Rayleigh Scattering)

このような、空の色が青い理由を解き明かしたのは、イギリスの物理学者、第3代レイリー男爵ジョン・ウィリアム・ストラット(John William Strutt, 3rd Baron Rayleigh、1842-1919)です。氏は、大気中の微粒子の大きさと、光の波長の散乱特性の関係を数式で説明しました。

その内容をざっくり言えば、微粒子のサイズが光の波長よりも十分に小さいときは、赤い光(長波長)よりも青い光(短波長)のほうがよく散乱するということ。

晴れた日の空に浮遊する粒子はほぼ空気の分子で、光の波長よりも小さいため、短波長が散りやすい。

この現象は、解明者の名前をとって「レイリー散乱(Rayleigh Scattering)」と呼ばれます。(数式はWikipediaでも閲覧できます ⇒ レイリー散乱

朝や夕暮れが赤いのはなぜ?

朝焼けや夕焼け空が赤やオレンジ色の理由は?

さて、次は朝や夕暮れ空の色について考えてみましょう。

早朝の日の出、一日のはじまりを讃えるような静かな赤。そして日没、どことなく寂しさを含む心に染みる赤橙のグラデーション。

こういった情感たっぷりな色味は、何がもたらしているのか?

実はこれも昼の青空と同じく、光のレイリー散乱による現象です。そこに、地球の自転が関係します。

なぜ夕暮れの空は赤やオレンジ色なのか?模式図

朝焼け・夕焼け空が赤やオレンジ色に見えるのは、青や紫を感じる短波長の光が散って大気に吸収され、あなたの目に届かないため。

朝や夕暮れは、地球(あなた)から見た太陽の位置が昼間よりも少し遠くなります。そのため、太陽光があなたの目に届くまでに通過する大気の距離が増します。

すると、青や紫など散乱しやすい波長の光は、微粒子による散乱を繰り返して目に届くよりも前に消失します。しかし、赤やオレンジの光は、散乱の度合いが青や紫に比べて弱いため、大気を進んで目に到達します。

その結果、日の出や日の入り時間帯の太陽付近に赤、オレンジ色、黄色が混ざった特有の色味が生じます。一方で、見上げた上空が暗い青にみえるのは、その領域からは短波長域の光がわずかに目に届いているためです。

雲が白いのはなぜ?

雲が白いのはなぜ?理由と仕組み

今度は、雲についてみてみましょう。

風に乗ってただよう雲の白や灰色は、青空にも夕暮れにも景色のアクセントになリますよね。

なぜ雲の色が白やグレーなのかも、光の散乱が理由です。ただし、レイリー散乱とは異なります。レイリー散乱は、大気中の粒子が光の波長よりも小さい(十分の一以下)ときに、短波長ほど散乱が強くなる現象です。

一方で、雲は水や氷が密集したものであり、粒子サイズは光の波長以上の大きさを持っています。そうなると、すべての波長域の光が同程度に散乱します。

既述のとおり、太陽光(=すべての波長の光が混ざったもの)は白。雲が白くみえるのはこの白光の均一な散乱によるものであり、部分的に灰色っぽく見えたり青が透けているのは、散乱する光量の差です。

なぜ雲は白い?

このようなイメージです。

ミー散乱(Mie Scattering)

粒子の大きさが光の波長と同じぐらいか、それ以上のサイズのときに起こる散乱の原理を解き明かしたのは、ドイツの物理学者グスタフ・ミー(Gustav Mie, 1868-1957)です。ほかの科学者が同時期に解明していたという説もありますが、この現象はグスタフ・ミーの名前をとって「ミー散乱(Mie Scattering)」と呼ばれます。

つけ加えると、ミー散乱の強さは光の波長と粒子サイズがほぼ同一のときに最大となり、光は前方向に多く散乱します。

薄明光線(天使のはしご、エンジェルラダー)とは?

こんな空模様を見たことはありませんか?物理の世界では「チンダル現象」と言います。薄明光線、または詩的な表現だと天使のはしご(エンジェルラダー)とも呼びます。

これもミー散乱による現象です。

月の空が真っ暗なのはなぜ?

なぜ月の空は真っ暗なのか?

最後にオマケを1つ。

ネットでみかける月面の映像や写真は、全部背景が真っ暗ですよね。

なぜ月の空は黒いのでしょう?

それは単純な理由で、月には大気(空気や水の粒子)がなく、届いた太陽光が散乱しないためです。

空が青いのはなぜ?雲が白い理由は?まとめ

いかがでしょうか?なぜ空は青いのか?日の出や日の入りの空は赤やオレンジ色にみえるのか?そして、雲が白い理由はなんとなく理解できましたか?

空の色のまとめ

  • 空の色は太陽光と大気(微粒子)の関係で生じる
  • 青空や夕暮れの色はレイリー散乱で説明できる
  • 雲の白はミー散乱で説明できる
  • レイリー散乱:粒子サイズが光の波長以下のときに生じる現象
  • ミー散乱:粒子サイズが光の波長と同程度かそれ以上のときに生じる現象

レイリー散乱やミー散乱の詳細にご興味があればぜひ専門書をご覧になってみてください。なお、太陽光や青空がもたらす効果については、さまざまな実験結果・研究報告が挙がっています。それらは人間の生理的な話であり、空の色の理由と方向性が異なるため、またの機会に詳しくご紹介しますね。

空の色は、地球に届いた太陽光の散乱で生じます。

時間とともに変化する空の色味は、太陽の位置、大気中の粒子、散乱と吸収による目に届く光の波長領域の量・強度・調和が生んだもの。

要するに、宇宙のバランスと空気や水のおかげです。

なぜ夕焼けはオレンジや赤に見える?

日々のなかで、空模様に心を動かされることもありますよね。

朝焼けの赤に希望を見出したり、青空をみて気持ちが晴れたり、灰色の曇天に憂鬱を覚えたり、夕暮れの濃淡に黄昏れたり。

そうした感情の変化が、選択や行動に影響することもあるでしょう。たとえば、「今日は天気が良くて気分もウキウキしているから、いつもより何となく積極的!」とか、「雨だし曇っているし、行くのが億劫だな…」とか。

そのときの何気ない判断が、人やモノとの新たな出会いを生み、その後の暮らしを変えるきっかけになっていたとしたら?

空の色が、知らず知らずあなたの人生に深く関与しているかもしれません。

太陽と地球の関係、光の散乱 - 自分とは無関係のスケールの大きな物理現象が、身近な出会いを変えている。飛躍したこじつけのようにも聞こえるかもしれませんが(笑)、そうとらえると毎日の空の色がさらに味わい深くなりそうです。

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